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世界の果てで枯れ果てた
先生と浦原さんと、あとオヤジ。
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2025-05-15 [Thu]
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2008-09-11 [Thu]
誰かの為に死ねるのか?そんな事を言った男が昔いた。大地を失った足がゆらゆらと揺れる。爪先から滴り落ちる血が馬鹿みたいに美しく見えた。
悪い事をした覚えはない。しかしあの出来事は確かに誰かの逆鱗に触れ、取り返しの付かない偉大なる怒りを招いてしまったのだ。
喜べ、明日は処刑の日だ。自分の処刑を喜ぶ馬鹿が世界の何処にいると言うのか。身体からじわりと流れ出して行く血を眺めながら、僅かに揺れる視界を閉じた。
あの少女は生きているだろうか。誰かにとって手駒にすぎない少女だが、手駒にしては強すぎる驚異を持つ少女だ、心配せずとも何処かで生きて行けるだろう。
何処かで?何処で生きると言うのだ。大口を開けて待ち構えているのは現実に潜む地獄ではないか。瞬間、悠長な自分に吐き気がする程の嫌悪を抱いた。いたいけな少女はこんな愚かな男をあの純粋な瞳で信じていたというのか。
誰かの為に死ねるのか?死ねると言った愚かな男が昔いた。
男は今、吊られた身体を必死に動かして他でもない、自分の為に生きようとしている。その先にあるのが酷く愚鈍な自己満足の欠片にすぎないなどとは気付いていた、それでも。

逃げ出さなければ。




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