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世界の果てで枯れ果てた
先生と浦原さんと、あとオヤジ。
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2025-05-15 [Thu]
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2008-09-25 [Thu]
眠れない理由?そんなの聞かれて答えられない人間なんているわけ?ああ、いるんだ、へー。初めてそんな馬鹿がいるなんて知ったよ。世間のレベルは低いもんだね。
私は頭がいいからさ、初めて眠れなくなったその日の事も全部全部重箱の隅の埃まで忘れろと言われてもきっちり覚えている。初めて眠れなくなったのが五年前の事、夏の真ん中の日からきっちり二週間。それからその次の年、六日眠れない日が続くと一日はぐっすり眠れる。何で私こんなところで几帳面なんだろう。
それから何回も眠れない日々を繰り返し、今度は不定期で理不尽な不眠の世界が受け入れてくれた。何なんだ一体、マジで、こいつ。
「何か文句でも」
「ありません」
あーしまった顔に出てた。とりあえず言いませんが文句なら山の様にあります。まず腰が痛いとか足が痛いとか体だるいとか三回はないだろうとか眠いとか眠いとか眠いとか。
「悪い?」
あーまた顔に出てましたか私。まあいいや事実事実。悪いのはアンタ。
「今日は機嫌が悪いね、俺何かした?」
そう言ってベッドに転がったままくわえた煙草に火をつける。火事になる火事に。
「はい寝煙草禁止ー」
「うるせぇな返せよ」
「いーやー」
ほら、もうシーツの端がこげちゃってるでしょー。これ燃えたらどうするのー。
「気になって眠れやしない」
嫌だって言っても全然聞いてくれないしなぁこの人。
「それは何が?俺が?煙草が?家事か?」
「だから何」
「忘れろって言ってんの」
「だから何を」
私頭が悪いからこの人が何を言ってるのか分かんない。私に忘れるべき物なんて何一つないのに。
「……今日はもう寝ろ」
「眠れないの」
「睡眠薬と意識を飛ばすのとどっちがいい?」
一体この男は優しいのか利己的なのか、今の私にはよく分からない。私は彼の胸に顔を埋めて眼を閉じた。
「どっちも嫌だなぁ」
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