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世界の果てで枯れ果てた
先生と浦原さんと、あとオヤジ。
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2025-05-15 [Thu]
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2008-10-09 [Thu]
先生、と彼女が紡ぐ音が私の全てだった。




光を失ったこの眼の代わりに神は私に音を下さった。それは人の呼吸する音であり鼓動であり私の全てであった。
ある春の朝、神は私に神託を下した。

―――貴方は私の物です、先生。

私には神が何を仰っているのか理解が出来なかった。この屑の様な頭では当然の事だ。
神託からどれだけの時間が経ったのか分からない。ぽつり、と遠くで雨粒の落ちる音が私の耳に届いた。
「雨ですか」
春雨ですね、神は濁った声で仰った。しとしと、しとしと。どこか私の知らないところで雨は降り続ける。

先生、と神の口が音を紡いだ。神の紡ぐ音が私の世界の全てだった。
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