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世界の果てで枯れ果てた
先生と浦原さんと、あとオヤジ。
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2008-04-08 [Tue]
 飛ぶんですかと後ろから声がかかったので振り返って見たら、よく見知った顔によく似たまあ見知った顔がそこにあった。彼は屋上のフェンスで区切られている安全圏内を越えて立っている私をただ見つめているだけで、何故だか知らないけれど私にはそれがとても不愉快に感じられた。
 私は飛びませんと答えただけでそれから彼と話す気はまったくなかった。本当にここから飛ぶ気はない。そんなつもりならためらう事無くここに立って5秒もあれば足をコンクリートから離すことができる。翼のない人間はただ飛んで落ちてこの高さならきっと絶命して終わりだろう。その先は? 死んだその先にはきっとまた違う世界が待っている。この世界がそれなりに気に入っている私にとってまったく興味も縁もないような場所だ。
 ただちょっと気になっただけなんです。何が? この世界を自ら捨てようとするあの人の気持ちが。会話は風に流されて僅かにしか耳に届かない。顔も似てれば声も似ている。私の愛しいあの人によく似ているからだ、だから彼が疎ましくて仕方ない。さっさとここからいなくなっちゃえばいいのに。
 別に死ぬ気は無いと思うよ? 無いでしょうね、あの人に出来る訳無いじゃないですか、そんな事。人間はどんなに頑張っても飛べやしないのに。世界に囲まれた私達は生きていくしかないという事に彼はいつ気づくのだろうか。
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