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世界の果てで枯れ果てた
先生と浦原さんと、あとオヤジ。
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2009-01-26 [Mon]
まるで水面だった。深い闇に立つ少女の足元がそうであると同時に、少女自身がおそらくそのものであった。
足を踏み入れる。幾つかの波紋。少女の瞳が僕を捕らえる。そこにあるのはただ明確な拒絶だった。
生きているとも死んでいるとも判別のつかない少女を揺らさないように慎重に歩を進めて行く。僅かに水面が騒ぐ度に綺麗な顔の向こうが歪んだ。
手に触れてみた。冷たい。呼吸はしているのに心音がどこにも見当たらない。少女の身体はいとも簡単に僕を受け入れた。
生きているのかと訊ねれば分からないと首を振る。僕の心音が酷く煩かった。
生きたいのかと訊ねれば黙って首を横に降った。もしも生と死を天秤にかけれるのならば死を選びたいのだと少女は言う。何処かで酷く水面が揺らいでいた。
幸福を否定する人間からの幸せは享受できないのだと話す。次第に呼吸がなくなってきた。
よく見れば水面の端で幾人もが無神経に彼女に触れていた。揺らぐ。揺らめく。彼女が揺れる。
苦しいと彼女は言った。
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