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世界の果てで枯れ果てた
先生と浦原さんと、あとオヤジ。
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2008-04-23 [Wed]
「出逢ってはいけない二人が、出逢ったとしたら」
 まるで何かに試されているかのようだった。彼は今までに誰にも見せたことのないような表情で黙って私を見つめている。私が何と言うのかそれを待っている。手にした本は中途半端に開いたまま、薄い紙のページが半分程めくれ上がっていた。まるでベタな恋愛小説の導入部のようなその言葉は子供の戯れと取るには妙に重く、真剣に思考を巡らせるには意外に軽かった。
「たとえば先生に、そんな出逢いがあったとしたら」
 先生は、どうしますか? それを何故意地の悪い質問だなどと考えたのかは私にも分からない。ただそれは幾重にも重ねられたオブラートのように何かをぼんやりと包み隠しているようだった。
 彼はまだ答えを期待しているようで、本を閉じてまでこちらを黙って見つめている。こちらに向けられる目が異様なまでに恐ろしかった。
 何を、だろう。彼は私に何を期待しているのだろう。私は何を忘れてしまっているのだろう。何を、何を、私は何を思い出そうとしている?
 オブラートの向こう側まであと、
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