2008-05-08 [Thu]
それはなんとも不可解な形をした羽根だった。妙に歪な癖にやたらと美しい白をしたそれは絶妙なバランスを保ったまま異様な芸術を見ている気さえした。
しばらく見つめているとそれが不意にどこかへ飛び立ちそうになったので思わずその羽根を両手で押さえ付けた。
「痛いですよ、兄さん」
そう言ってその鳥は笑う。何がおかしいのか笑う。たとえ何処へも行けなくたって決して怒ることもなくただ私に微笑みをくれるのだ。その微笑みがいつから私に安らぎをくれていたのかなんて知らない、知りたくもない。私の平穏の為だけに支払われる大きな代償にはまだ眼を背けたままでいたかった。
しばらく見つめているとそれが不意にどこかへ飛び立ちそうになったので思わずその羽根を両手で押さえ付けた。
「痛いですよ、兄さん」
そう言ってその鳥は笑う。何がおかしいのか笑う。たとえ何処へも行けなくたって決して怒ることもなくただ私に微笑みをくれるのだ。その微笑みがいつから私に安らぎをくれていたのかなんて知らない、知りたくもない。私の平穏の為だけに支払われる大きな代償にはまだ眼を背けたままでいたかった。
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